平家女護島 6
俊寛が妹尾を殺して島に残ることで、少将の妻として
千鳥が船に乗ることが出来るようになり、いよいよ
別れの時が来ます。
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俊寛は自分を残して都に向かう三人に、理性的に
接する。帰る面々には言葉もない様子。
でも、この時にはまだ本当の孤独を解っていなかった
んです。
船が出ると、突如一人残される孤独への恐怖が襲い
かかってきて、船の手綱を手に取り、船と自分を
繋ぐ何かを求めるように、たぐり寄せる。
でも、手綱の先端に叩かれるように後ろにのけぞる
俊寛。そして、船を追いかけて走り、声を限りに
「おーい」と叫びます。帰ってくる声も、船が
遠ざかると共に小さくなっていき、やがて聞こえなく
なっていく...
もはや誰に対しても理性を示す必要がなくなった時
人はどんな行動を取るのか?
俊寛は頭では割り切って自ら島に残ったけれども、
「思い切っても凡夫心」
義太夫の語りと太棹の三味線のベンベンという音が
俊寛の心情を表現します。
なりふり構わず船が見えなく鳴るまで、砂浜を走り
狂ったように叫ぶ俊寛。
船がいよいよ沖に消えていくと、少しでも高いところ
に登ろうと、岩山に足を滑らせながら、よじ登り、
なんとか船の姿を見ようと目をこらします。
そして、岩山の上から足を滑らせて転落しそうになり、
松の木の枝に助けられる。松にしがみつきながらも
既に見えなくなった船の消えた方を凝視する俊寛。
こんな孤独で惨めな人の姿を見たことがあるだろうか?
この時の俊寛の絶望が痛いほど伝わってきて、涙が
止まらなくなりました。
そして、さらに凄まじいのが、俊寛の心情が絶望から
諦観にかわっていくのが手に取るように解る演技。
目だけの演技なのに?
どうしてそれが観客である我々に解ったんだろう?
最期は、まるで岩と一体化したかの様な俊寛。
目を見開いてじっとしている姿で幕となります。
あの目を忘れることが出来ません。
中村吉右衛門丈は、もしかして霊媒ではないか...
と思うことがあります。俊寛の亡霊が乗り移った
のではないだろうかの様な播磨屋の演技を観た後は
いつもなかなか現実に戻ってこれないんです。
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