ふるあめりかに袖はぬらさじ 1
有吉佐和子さんの作品で、「亀遊(きゆう)の死」という
タイトルの短編小説だったものを、有吉さんが後日戯曲
として再構成したものなんです。
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歌舞伎じゃない舞台で、何度も上演されてきている
作品で、杉村春子さんの当たり役でもありました。
それを歌舞伎座で(だから、当然キャストは全部男です)
演れるもの、玉三郎丈あってこそだと思います。
これは歌舞伎役者が歌舞伎座で演じるとはいえ、台詞は
今の我々と同じ言葉なので、難解なことは一切ありません。
時代は、2008年NHKの大河ドラマ「篤姫」と同じ頃。
といえば、開国しなければ国が滅ぶ...という時代。
最後の将軍徳川慶喜の時代といえば、そんなに日本史
に造詣の深くない方でも「なるほど、夜明け前の時代か」
とお解りかと思います。
そんな時代、横浜港には港崎(みよざき) 遊郭という、吉原
を真似た遊郭があり、そこには外国人相手をする遊女もいた
ようで「唐人口(とうじんぐち)」と言われておりました。
まぁ、あまり日本人には相手にされない遊女がそこに墜ちて
いったようですが...。
舞台は、そんな遊郭の店の一つ「岩亀楼(がんきろう)」です。
玉三郎丈が演じるのは花魁ではなく、芸者のお園さん。
吉原にいた頃に知り合った花魁とこの岩亀楼で再会します。
その女郎は亀遊(きゆう)さんと言い、病の床についています。
昨年末の歌舞伎座では、この亀遊を、中村勘三郎丈の次男・
七之助丈が演じましたが、痩せて、華奢で、かわいくて、
儚げな病身の遊女役を見事に演じきっていました。
病の床についた遊女なんて厄介者です。ですから薄暗い
道具部屋みたいな所に押し込められているんですが、病気が
うつりはしないかと、道具を取りに来たり置きに来たりする
物達は、みにそそくさと出て行くのです。
暗い部屋にいる亀遊の耳に、船の汽笛が聞こえて来ます。
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